認知症における食のトラブル
認知症では食事トラブルも多く、様々なタイプのモノがある。
たとえば意欲障害が起こると、食事に対する意欲がなくなる。
介護でも「食事拒否」といって、食べるのを拒否される。
拒否される理由は色々あって、量が多いとか少ないとか、味が濃いとか味がないとか、非常に様々だ。
その結果、必要な栄養が取れず、栄養不足が起こってしまう。
タダでさえ高齢者は、タンパク質不足になりやすく、筋肉が落ちている場合が多い。
なので認知症で起こりやすい転倒が起こると、半年以内に死ぬことにもなりかねない。
逆にいくら食べても忘れて、また食べようとしたりする。
また料理の味付けが変わると、料理を作った者に、何か変化があったことを示す。
食事を飲み込めなくなる嚥下障害(えんげしょうがい)も、レビー小体型認知症では、早い時期から起こる症状だ。
レビー小体型認知症は、筋肉がこわばるパーキンソン病と同じレビー小体というモノができて、飲み込む動作がぎこちなくなるからだ。
またレビー小体型認知症では、別の理由で食事を摂りにくくなる。
というのもこのタイプの認知症では、リアルな幻覚を見る事が多く、ゴマなどの小さな材料が虫に見えたりして、とてもじゃないが食べる気分が起こらない。
認知症の食行動異常と原因
認知症で起こる食行動異常には、食事拒否・異食・盗食・過食がある。
食事拒否とは、食べないと言うことで、食事に興味がなくなる。
あるいはレビー小体型認知症で、飲み込むのが難しいとか、食べ物が気持ち悪く見えて、とてもじゃないが食べられないという場合もある。
異食(いしょく)というのは、紙とか石けんとかゴミとか、草花とか、腐ったモノなどを食べようとするという症状だ。
これは簡単に言うと、目の前のモノが食べ物かどうか区別が付かなくなっている状態で、食べ物に関する記憶が消えているのか、恐怖心の欠如が起こっているのかで、扁桃体障害の症状だ。
盗食(とうしょく)というのは、他人の食べ物を盗んで食べることで、前頭側頭変性型認知症で、「他人のモノは盗ってはいけない」という社会規範がなくなっている状態だ。
過食(かしょく)というのは、食べ過ぎると言うことだけれど、これは満腹感を感じずに、どんどん食べ物を詰め込む場合と、さっき食べたという記憶がなくて、「食べなきゃ」と考えて食べようとする場合がある。
満腹感がなくて食べ続けるのは、満腹中枢が働いていないのか、それとも脳内インスリン濃度が低くて、脳がエネルギー不足になっているのか。
さっき食べたことを忘れているというのは、近時記憶障害ってことだから、アルツハイマー病の初期かもしれない。
このように、食行動異常の症状もいろいろで、原因も様々だから、対処は難しそうだね。