アルツハイマー病は、脳の糖尿病
アルツハイマー病の原因として、今、一番有名なのが、「アミロイド・カスケード仮説」だ。
アルツハイマー病の患者の脳には、「アミロイド・ベータ」というタンパク質がたくさん溜まっており、これが脳の細胞や組織を変性させて壊しているという説だ。
アミロイドというのは、タンパク質が絡まって繊維状になったもので、「クモの糸」もアミロイドの一種だ。
2型糖尿病やパーキンソン病、動脈硬化・関節リュウマチなどでも、別の種類のアミロイドが溜まっていて、それぞれの病気に関連しているらしい。
狂牛病のプリオン・タンパクも、アミロイドタンパクの一種だという。
コレとは別に、近年浮上してきた説がある。
それが「アルツハイマー病は、脳の糖尿病」説だ。
もともと、2型糖尿病患者が、アルツハイマー病にかかりやすい、と言うことは分かっていた。
そこで糖尿病を発症していないアルツハイマー病患者の脳の、インスリン濃度を調べてみると、健常者より低いことが分かったのだ。
インスリン濃度が低いと、血液中のブドウ糖(血糖)を取り込みにくくなるので、それでアルツハイマー病の人の脳は、エネルギー不足に陥っているらしい。
そこでアルツハイマー病を「脳の糖尿病」とか、「第3の糖尿病」だと言う研究者もでてきた。
そこでにわかに脚光を浴びだしたのが、中鎖脂肪酸やココナッツオイル等の、「ケトン体」になりやすい油だ。
糖質制限食・ケトン食は認知症にも効く?
認知症患者の脳内には、アミロイドタンパクが溜まっている。
アルツハイマー病では、アミロイドベータタンパク、パーキンソン病では、別のアミロイドが溜まっている。
なのでアミロイドが認知症の、鍵を握っていることは確かだ。
一方、アルツハイマー病の患者の脳は、糖尿病患者同様インスリン濃度が低く、エネルギー不足の可能性が指摘された。
そこでアルツハイマーは「脳の糖尿病」だとか、「第3の糖尿病」だという研究者もでてきた。
そこでにわかに脚光を浴び始めたのが、中鎖脂肪酸やココナッツオイル等の、「ケトン体」になりやすい油だ。
脳のエネルギー源となるのは、炭水化物を分解して作られるブドウ糖と脂肪を分解して作られるケトン体だ。
インスリン不足でブドウ糖が取り込めないなら、替わりにケトン体を送り込めば良いのでは?というアイデアだ。
ところが脳にケトン体を送り込むのが難しい。
脳は、ケトン体よりブドウ糖を優先して使うので、炭水化物がたくさんある状態だと、肝臓はブドウ糖を優先して作ってしまう。
これでは作られるケトン体の量が少なく、脳のエネルギー不足を補えない。
そこで糖尿病でも近年注目されている糖質制限でケトン体の産生を増やす「ケトン食」に注目が集まった。
さらに、食べるとすぐに分解されて、ケトン体になる中鎖脂肪酸(MCTオイル)や、中鎖脂肪酸を多く含むココナッツオイルに、注目が集まったというわけだ。
そしてMCTオイルやココナッツオイルで、認知症が改善したという報告も出始めて、家庭でできる認知症対策として、流行始めたわけだ。