認知症のリハビリ・運動療法(理学療法)
認知症やボケで問題になるのが、廃用症候群(生活不活発病)だ。
廃用症候群というのは学術用語だが、何の意味だかわかりにくいので、「生活不活発病」と呼んでるらしい。
これは簡単に言うと、活動的でない生活によって、身体の機能が衰えてしまう病気だ。
というのも我々の身体というのは、「使わない機能は衰える」かららしい。
身体を動かさないと筋肉は落ち、心肺機能も衰える。
たとえば大病をして寝たきりになると、使われない筋肉が衰えてしまい、ちょっと起き上がるだけで、めまいがしたり、ふらついたりする。
車椅子が楽だからと言って、必要もないのに車椅子に乗ってると、足がいつの間にか細くなって、車椅子なしでは暮らせなくなる。
こういう風に、使わない筋力が衰えたり、関節が曲がりにくくなったりするわけだ。
そしてさらに問題なのが、「筋肉や関節だけでなく、脳も衰える」ということだ。
普段あまり意識していないけれど、我々は身体を動かすときに、様々な情報を脳で処理している。
家の周りを散歩するだけでも、目を使い耳を使い、風を感じ、そして足の裏からは地面の状態や、重心の移動情報を受け取っている。
これらの複数の情報を脳で分析し、小さな決断をたくさんしているらしい。
そのため、認知症の予防やリハビリには、身体を動かす理学療法が使われる。
身体を動かすと、その情報が脳に伝わり、脳の活発化を促せるらしい。
認知症の運動療法は、糖尿病の運動療法とは違う
認知症になると、自分の能力が目に見えて衰えてしまうので、様々な「やる気」を無くしてしまう。
そのため身体を動かす機会が減り、使わないと筋肉や能力が衰えるため、さらに身体を動かすのが面倒になる。
この悪循環が認知症やボケの症状をドンドン悪化させると言うことらしい。
そのため、認知症のリハビリでは、
- 理学療法(運動療法/筋力強化、バランス訓練、関節可動域訓練)
- 作業療法(家事・雑用、手工芸・工作)
- 言語聴覚療法
理学療法とは、運動療法で、身体の能力を取り戻す療法。
作業療法とは、手先と頭を使う療法。
言語聴覚療法とは、文章を読んだり会話を用いる療法だ。
この中で間違えやすいのが運動療法で、糖尿病の運動療法をやっても意味はない。
運動療法をネットで検索してみると、糖尿病の運動療法ばかり出てくるが、認知症のリハビリを目的としていない。
糖尿病の運動療法の目的は、「血糖値を下げる」ためのモノで、運動することで筋肉のインスリン抵抗性を下げ、血液中のブドウ糖を消費しやすくするものだ。
そのため、有酸素運動が中心になる。
一方、認知症の運動療法では、筋力をつけたり、バランスをとったり、関節の可動域を拡げることが中心になる。
これは身体を動かし易くするためのモノで、筋トレやストレッチ、マシントレーニングが中心になる。