認知症の運動療法・バランス訓練
認知症やボケのための運動療法は、
- 筋力強化(筋力トレーニング)
- バランス訓練(体幹トレーニング)
- 関節可動域訓練(ストレッチ)
糖尿病の運動療法では、有酸素運動が中心であるが、認知症の運動療法では、動きやすい身体作りが主眼だ。
糖尿病では高血糖が最大の問題だから、運動療法も血糖値を下げるのが主眼で、そのために有酸素運動が使われる。
しかし認知症では、運動を通して、脳を刺激し続けることで、正常な脳機能を維持するのが目的だ。
昼間の運動によって、昼夜逆転やせん妄や夜間徘徊を減らすこともできるという。
その運動療法の最初は筋力トレーニングで、スクワットやレッグランジなどで足腰を鍛え、股関節を動きやすくすることだ。
次のバランス訓練とは、バランスを保つ訓練で、最近流行の体幹トレーニングに似たトレーニングだ。
一番簡単なのは、四つん這いになって、片足を後ろに伸ばして揚げるバランス訓練だ。
このとき、同時に反対側の腕を前に伸ばすと、さらに効果的なバランス訓練になる。
これは体幹トレーニングの本にも必ず載ってるね。
また立った状態で膝を揚げて、足を前後左右に動かすというバランス訓練もある。
片足立ちバランス訓練の方法
- 壁や手すりにつかまって、片膝を揚げる。
- その状態で、膝を上下にゆっくり上げ下げする(左右各5往復ずつ)。
- 膝を前後にゆっくり動かす(左右各5往復ずつ)。
- 膝を伸ばして足を横に拡げたり縮める(左右各5往復ずつ)。
10分間の軽い運動で脳の機能は向上する
認知症のための運動療法、バランス訓練というのは、軽い体幹トレーニングになる。
身体のバランスをとっているのは、体幹部だから当たり前だが、簡単な体幹トレーニングは、覚えておいて損はなさそうだ。
バランス訓練の要点は、とにかくゆっくり動かすことだ。
リハビリなどでは、わざわざ不安定なクッションを使うようだが、家庭では危険だから真似せずとも良い。
それよりもヨガや太極拳のような、ゆっくりとやる運動の方が、バランス訓練には役立つだろう。
運動療法3つ目の関節可動域訓練というのは、動かなくなってしまった関節を、動くようにするためのリハビリで、理学療法士が行うトレーニングだ。
これは患者が寝たきりの状態から、起き上がれるようにするための訓練で、簡単に言うと布団の中でできる運動になる。
膝や肘を曲げたり伸ばしたり、手足の関節を、回内させたり回外させたり、内旋させたり外旋させたりする運動だ。
だから寝たきりになっていなければ、普通のストレッチ運動や、ラジオ体操や太極拳で代替できるはず。
最後に持久力アップのための強めの運動は、余裕があればやっても良いが、心拍数や血圧が上がるので、避けた方が良いかも知れない。
筑波大学の研究によると、10分間の軽い運動でも、脳の機能は充分向上するという。
だからヨガや太極拳のような運動でも、続けていれば持久力はアップするので、とにかくまず運動する習慣が重要だろう。