フェルラ酸とは、強力な抗酸化物質
フェルラ酸は、米ぬかや小麦のふすまなどに含まれるフェノール類(芳香族アルコール)だ。
植物の細胞壁の中に存在して、リグニンというフェノール性化合物を作る材料になっている。
要するに木や穀物の皮の成分だが、このフェルラ酸には、様々な作用がある。
まず食品添加物として、色落ちを防ぐ。
食品の色が変わるのは酸化が原因だが、フェルラ酸には酸化防止作用があって、それで酸化防止剤として使われている。
γ-オリザノールや米ぬか油抽出物も、酸化防止剤として使われるが、これらにもフェルラ酸が含まれている。
そして酸化防止剤として働くだけでなく、生体内でも抗酸化作用を持つ。
体内に発生するフリーラジカルと反応し、これを無力化する働きがあるのだ。
なので鯛の養殖では鯛が紫外線で黒く日焼けしないように、γ-オリザノールと一緒にフェルラ酸がエサに混ぜられているらしい。
また、日焼け止めの成分としても、フェルラ酸が配合されている。
というのも、フェルラ酸とビタミンC・Eの組み合わせは、紫外線から肌を守る効果が高いからだ。
ビタミンCやビタミンEにも抗酸化力があるが、フェルラ酸と組み合わせることによって、相乗効果で抗酸化力がさらに増すらしい。
ただし日焼け止めに使われるフェルラ酸は、高級品の日焼け止めにしか配合されていない。
フェルラ酸は、アミロイド毒から神経を守る
フェルラ酸は食品添加物として、色落ち防止剤として使われる。
また強い抗酸化力を持つため、日焼け止めクリームに配合されたり、鯛の養殖でエサに混ぜると、鯛が黒ずむのを防ぐことができる。
この強力な抗酸化作用が、脳機能改善にも役立つらしい。
というのもフェルラ酸は、活性酸素やフリーラジカルが、神経細胞を傷つけるのを防ぐのだ。
たとえばアルツハイマー病では、アミロイド・ベータ・ペプチドが繊維状に凝集して溜まる。
これをアミロイド繊維というが、これが活性酸素やフリーラジカルを生み出して、神経細胞を壊していくと考えられている。
フェルラ酸は抗酸化力をもっているので、この活性酸素やフリーラジカルを無力化し、脳を守ってくれるわけだ。
その他にも、フェルラ酸には、血糖値を下げたり、血圧を下げる作用もあって、これが認知症リスクを下げる。
というのも糖尿病によって、毛細血管が糖化されて脆くなったり、高血圧によって毛細血管に血が回らず、認知症が起こる危険性が高まるからだ。
こうしてみてくると、フェルラ酸は良いことずくめだから、なんとか毎日摂りたいところだ。
因みにフェルラ酸は、米ぬかに多く含まれるので、玄米や胚芽米などを食べれば良い。
他には小麦のふすま(ブラン)、大豆の皮などに含まれているし、フェルラ酸のサプリメントも出ている。