頭が固いと言われる人は、既にボケている
頭がボケるというのは、簡単に言うと、疲れて考えがまとまらなくなったり、酒に酔っぱらって自分をコントロールできない状態だ。
モノを考えたり、自分をコントロールするのは、脳の前頭葉(ぜんとうよう)の働きで、前頭葉の働きが鈍ることで、様々なボケ症状が出るのだ。
この前頭葉は、脳の前側にあり、おでこや額の奥あたりにあると思えばいいだろう。
前頭葉の働きは、前頭葉に障害を負った人の様子を観察することでわかった。
前頭葉に障害を負った人の特徴
- 精神的柔軟性や自発性が低下する。
ただしIQ は下がらない。
- 会話が劇的に増加したり、あるいは減少したりする。
- 危険管理や規則の順守に関する感覚がおかしくなる。
- 人付き合いが増える、または減る。
- 眼窩前頭野に障害を負うと、独特な性行動につながる。
- 背外側前頭野に障害を負うと、性的興味がなくなる。
しかしIQ(知能指数) は下がらない」とは、「頭が固い、考えが古い」という意味だ。
モノを比べたり、仮の話で考えたり、いろいろ考えることをしないで、自分の意見をそのまま押し通そうとする。
自分が以前から持っている考えを言うのは、単に記憶を引き出してきているだけだから、比較したり、一般化したり、グループ分けするというややこしいことを考えられないということらしい。
逆に言うと、前頭葉というのは、まさにそういう、「ややこしいことを考える場所」だと言うことだ。
計算をしたり決まり切った会話は、前頭葉以外の部分で対処できるらしく、前頭葉が傷んでも、それまでに身についた知識や能力は無くならない。
ただ新たにモノを考えたり、今までに持っていた考えを、変えたりできなくなるってことらしい。
次の「会話が劇的に増加する」や、「人付き合い(社交性)が増す」は、「危険管理や規則の順守に関する感覚がおかしくなる」に関係があるようだ。
前頭葉に障害を負ったことで、他人に対する警戒心がなくなったり、話したいことが抑えられなくなったってことらしい。
前頭葉が鈍るのが、ボケるということ
前頭葉がどういう働きをするのかは、前頭葉に障害を負った人が、それ以前とどう変わったかでわかった。
それを一言で言ってしまうと、「やる」と「やめる」を判断することだ。
今までしていなかったことを「やる」、今まで普通にやってたことを「やめる」。
「やる」「やめる」を決めて実行するのは、現在の自分のあり方を変更することで、強い意志力が必要なことだ。
なので前頭葉の働きが鈍ると、意志力が弱まってしまって、抑えていたことが抑えられなくなる。
たとえば、しゃべるのを何らかの理由で抑えていた人は、抑えが効かなくなってしゃべり続ける。
逆に努力してしゃべろうとしていた人は、しゃべる努力をしなくなってしまい、全くしゃべらなくなったりする。
また前頭葉の働きが鈍くなると、羞恥心や自制心が失われて、欲求のまま行動しようとするのも、抑制力が無くなるからだろう。
こういうことは、酒を飲んで、酔っ払った時にも、よく起こる。
アルコールが入るとしゃべり出す人もいるし、逆に何もしゃべらなくなる人もいるからね。
また普段は全くそんな話をしないのに、下ネタや他人の悪口を言い出す人もいる。
つまり頭がぼけるというのは、酒で酔っぱらったのと同様だってことだ。
しかし全く違う点が一つあって、酒の場合は酔いが醒めれば元に戻るが、ボケは休んでも治らない。
逆に休めば休むほど、ドンドン進んでしまうのがボケだ。
ケガや病気で入院をした人が、退院後になぜかボケてしまうことがあるが、これは周囲に大事に扱われすぎて、脳を動かさなくてすんだせいだという。
つまり前頭葉というのは、使わなければ動きにくくなり、その結果、ボケるって事だな。