ネットやケータイは便利だが、ボケやすい
前頭葉を使わないと、人間の頭はボケる。
最近よく言われるのが「コピペ」(コピー&ペースト)の悪影響だ。
学校でも職場でも、インターネットやスマートフォンで、調べた情報を丸ごとコピーして、レポートや書類に貼り付けて、それで済ませる人が増えた。
言葉の定義や、よく知られた話などは、丸ごと書き写さなければいけないから、コピペは確かに便利だ。
しかしコピペは、便利だけれど頭がボケる原因になる。
というのもコピペだけでは、前頭葉をあまり使わないからだ。
前頭葉は、覚えた知識や自分の経験を基に、モノを比べたり、仮の話を考えたり、点数をつけてみたり、パターン化したり、似たものとグループ化したりして、物事を理解したり判断する。
なので調べた内容を自分なりの言葉で置き換えたり、他の情報と合わせたり比べて考えるなら良いが、調べただけで済ますと頭を使わない。
サイトを作った人や、記事を書いた人は、散々脳を使ってサイトや記事を作っているが、それをそのままコピペして済ます人は、そういう作業をしていないため、前頭葉は休んでいるわけだ。
しかも他人の書いた文章を選択して、それをクリック一つで貼り付けるだけだから、文字を書いたり打ったりする作業すらない。
複数の文章を読んで理解したり、一つの文章にまとめるという作業は、学問やビジネスで使われるCALPレベルの言語能力が必要なのだが、コピペで済ましてしまうと脳は衰える。
その結果、前頭葉の血の巡りが悪くなって、モノが思い出せない、面倒なことが考えられない、抑制力を失ったり、感情的になるなんていう、ボケ症状が出てしまうわけだ。
情報を加工する能力
現代は、情報を加工する能力が求められている時代だ。
というのも情報革命(IT革命)のおかげで、情報が革命的に手に入れやすくなったからだ。
たとえば統計を調べようと思えば、かつてはその統計が載っている白書や公式文書を取り寄せて、数字を書き写さねばならなかった。
ところが今や政府が発表する統計は、統計局などのホームページにPDFかエクセルシートで公開されている。
国際比較が必要な統計データも、OECD(経済協力開発機構)や、世界銀行からダウンロードできる。
OECDは、戦後ヨーロッパ復興のために発足した組織で、様々な統計があって便利だ。
またweb技術系の調べ物なら、web上に殆どのリファレンスがあるし、知識を持った人に質問できるサイトもある。
なので何か考えたり、問題を解決しようとする人にとっては、とんでもなく便利な時代になったわけだ。
モノを考えるためのデータは、その多くがネット上に公開されているのだから。
ところがこの便利さが、逆に安易さになり、自分の脳を使わず、コピペで済ませると、前頭葉が使われず衰えてしまいかねない。
使わない部分は衰えるのが人間の身体で、頭もやはり使わないと衰えるのだ。
その結果、何が起こるかというと、頑固で柔軟性の無い人間になる。
何かにつけて切れたり、脅しや暴力で解決しようという人が増える。
教育レベルが低い人の中には、すぐに感情的になったり暴力的になる人も多いが、コレも実は前頭葉の働きが悪いってことらしい。