アルツハイマー病とレビー小体型認知症
認知症には4つのタイプがあり、多いのは脳血管性認知症とアルツハイマー病らしい。
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血で起こるが、症状は人によってバラバラだ。
一方、特徴がハッキリしているのが、アルツハイマー病と、レビー小体型認知症だ。
アルツハイマー型の認知症は、記憶がドンドン消えていく病気だと思えば良い。
脳の海馬(かいば)という、記憶を司る器官が萎縮して新しいことが覚えられなくなる。
海馬がちゃんと働かないと、記憶ができないため、モノを覚えておくことができないのだ。
さらに脳の側頭葉や頭頂葉に、萎縮が拡がっていくと、記憶がなくなり、視空間認識もできなくなる。
アルツハイマー病では、脳の神経細胞が壊れて記憶がなくなるので、全く何も思い出すことができない。
最近の事は覚えられないし(近時記憶障害)、子供の頃の記憶まで消えていく(遠隔記憶障害)ので、ヒドいときには、結婚相手や息子や娘の顔もわからなくなる。
また頭頂部方向に萎縮が進むと、空間認識力も失われていき、自分がどこにいるのかも分からなくなる。
外に出れば道に迷い、家に戻るのも難しくなる。
ヒドいときは、家の中で迷ったりもする。
アルツハイマー病はこうして、記憶がなくなることで社会生活に支障を来す。
一方、「レビー小体型認知症」は、見えないモノが見える幻視や妄想、パーキンソン病などの運動障害、自律神経障害がある認知症だ。
この病気は脳の細胞内に「レビー小体」というタンパク質の袋ができることで起こる。
レビー小体は、パーキンソン病の患者の脳幹細胞で発見されたものだが、これが大脳皮質にできているのがレビー小体型認知症だ。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症とは、細胞内に「レビー小体(しょうたい)」という、袋ができてしまう認知症だ。
元々、レビー小体というのは、手足がこわばって動かなくなるパーキンソン病患者で発見された。
レビーさんが発見したので、レビー小体という名前が付いている。
パーキンソン病患者では、脳幹細胞にのみレビー小体ができる。
ところが日本の研究者が、認知症患者の大脳皮質の細胞にも、レビー小体があることを発見し、アルツハイマー病とは違う認知症があることが分かった。
このレビー小体型認知症が発症するのは65歳以上の高齢者が殆どで、70代80代に多い認知症らしい。
レビー小体型認知症の特徴は、症状が日によってクルクル変わることだ。
まともに平穏に暮らしている時もあれば、突然、家族の顔が分からなくなったり、また良くなったりと言うことが起こる。
アルツハイマー病の場合は、記憶自体がすっかりなくなるため、日によって症状がく変わる事はないが、レビー小体型認知症ではそれが起こる。
また見えないモノが見える「幻視(げんし)」が起こるのもレビー小体型認知症によくある症状だ。
見えないモノを掴まえようとしていたり、誰もいないのに話しかけていたりする。
モノが動物や人間に見えたりする錯視(さくし)や、幻聴・幻覚も起こす。
ところがレビー小体型認知症の患者は、アルツハイマー病の患者とは違って、見えていたモノを覚えていることが多い。
というのもアルツハイマーのように、脳細胞が壊れているわけではなく、記憶の大多数が残っていて、最近あったことも覚えているらしい。
まあそれでも、多少の記憶障害は出るのだが。